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第1部 四章【スノウドロップ】その2 第二話 キーボード

Author: 彼方
last update Last Updated: 2025-12-25 18:30:00

103.

第二話 キーボード

「きゅっきゅっ♪」

「キュキュ、なんだか嬉しそうね。美味しそうなパン(らしきもの)の匂いがするからかな」

(でもごめんね、それを買うことはできないの。なんとかしなきゃ、せめてこの子の餌くらいなんとかしてあげたい。なにを食べるのか分かんないけど)

~~♪~

 すると遠くから微かに音楽が聴こえることに気づいた。ミサトは耳を澄ませて音の方向に進む。すると……。

「あれは…… キーボードだ。なんでこんな所に? ここ、異世界よね?」

 商店街のような所の一角にステージがありキーボードが置いてあった。それは誰でも自由に弾いていいもののようで、数名が並んでいた。

 観客席もあり、演奏が終わると拍手されていた。その演奏者の中に上手な人がひとりいて、思わずミサトも拍手をしていた。何という曲かは分からないが。上手い。

パチパチパチパチパチパチ

 すると、その演奏者は数名から投げ銭をされていた。

(これだ!)

 実はミサトは一人っ子の家庭だったのもあり普通のサラリーマンの父だったがミサトに習い事をたくさんやらせる余裕くらいはあった。要するにちょっとしたお嬢様育ちで、子供の頃はピアノを習っていたのである。

(曲は…… マナミが好きだったあれにするか)

 現世にいた頃の仲間を思い出してミサトは『芸術家の生涯』を弾いた。心に届け! いい曲でしょう、この感動よ届け! と。

~~♪

「ありがとうございました」そうお辞儀をした瞬間、ワッ! とギャラリーが大騒ぎして

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